なんせ、のめり込みやすいタチなので、米粉パンから和のパンに走り出し、ヒットがでました。カナッペ風にごまみそを塗った黒糖入りのみそパン、言うなれば、「ごまみそ黒糖パン」であります。長いなまえで、すみません。
もちろん、パンはロボさん(ホームベーカリー)に焼いてもらいます。
夫に食べさせても「これはイケル」というので、先日、人寄せがあったときにふるまったところ、国際的な場だったので、みそに慣れた日本人ばかりでなく、韓国から来た方、イタリアの方も、「これは、おいしーい!」とか「とっても深い味ですね」とか誉められ、すっかりいい気になっております。木に登りやすいおサルさんですね…。
で、レシピを書きますが、じつは、パンの方は、荻山和也著『ホームベーカリーBook』にある「みそブレッド」のほぼ引用です。いくつか、ホームベーカリーの本は持ってますけど、レトリックや写真の見事さのわりに、実質のないものが多い中、これはお薦めですよ!ほかのパンもひと味違います。
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「ごまみそ黒糖パン」
①まず、ホームベーカリーで「みそ黒糖パン」を作ります。1斤用です。
イーストは自動投入器に入れ、あとはすべてパンケースに入れて、食パンコースで焼きます。最近、デパートなどで上州地粉をけっこう売ってますので、それを使うと、いっそう風味がいいと思います(その場合、粉はきもち多めにします)。
なお夜、予約設定で仕込みをし、翌朝ロボさんを開けたところ、パンの頭がへこんでいたことがありました。味の方は問題ないですが、カンペキを望むなら、予約でない方がよさそうです。
②焼き上がったら、これを薄めにスライスし、一枚をさらに四等分くらいにし、スプーン半分程度の「ごまみそ」をぬります。バターナイフなどで、薄く伸ばしてくださいネ。これで、「ごまみそ黒糖パン」のできあがり。
ごまみそは、金沢市の佃食品製が、チョーお薦めです。というか、そうしてください。最寄りのデパートなどに店舗が出ていたら、商品として並んでなくても、とり寄せられます。なければ、練りごま(黒)、味噌、砂糖を混ぜ合わせ、隠し味に日本酒ちょっぴり…でいいのかな?このあたり想像までです。いい加減で、ごめんなさい。
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みそ黒糖パンとごまみそ、つまり「ダブルみそ」になってるのが、深みの決め手かな?ほんわか、ぬくみが残る焼きたてパンを、薄めに切って(卵が入っているパンなので、わりと切りやすいです)、ぺろんとみそを塗り、ヴァグッと、行かせていただきます。地粉の風味は、みそを引き立てますよ。
でも、なんかコレ、似た味を知ってるような…。
そうだ、そうだ、上州名物「焼きまんじゅう」だ!たぶん、これが、わたしの味覚の底にあったんじゃないかな?濃いみそ味と小麦の出会いを、最初に教えてくれたのはソレだもの。
わたしが小さい頃、上州、中でも東毛地区の桐生では、祭りで一番人気のある屋台とは、お好み焼きでもたこ焼きでもなかったのです。やきとりのように、串刺しにしたまんじゅう生地(餡は入っていません)を火で炙り、べったりと、甘みのあるみそダレを塗る、焼きまんじゅう。くんくんと、いいにおい。
そのひなびた香ばしさは、上州の空っ風とそこに生きる輩たちの乾いた気性に、バッチリ。口のまわりを汚した上に、一張羅のゆかたに茶色いタレを垂らし、バサンッと、脳天は、母の手に叩かれたもんです。泣きじゃくりながら頬ばる、焼きまんじゅうの、なんと美味しかったこと!いたさと、うまさと、みじめさの坩堝の中で、幼いわたしは、ものごととは、常に引き裂かれていく定めにあることを、ずしんと、学んでいたようにも思われます。
「ごまみそ黒糖パン」は、名古屋の八丁みそや金沢のごまみそを使い、作り上げれば、韓国やイタリアの友人にさえ誉められた、「ユニバーサル」な代物だったけれど、インスピレーションの源流をたどれば、あの「ローカル」な、我が懐かしき上州名物に行き着くみたい…。ごま風味は、まんじゅう生地にうっすら付ける、焦げ味のかわりなんでした。
変身する、焼きまんじゅう。なまえ、「焼きまんパン」に変えようかな。
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