『タマシイ・ダンス』は、声を詩の骨に、韻律をその関節に、意味と表記を肉と肌にして、言葉そのものを動かす、「言葉の生きている姿」を追求しようとした詩集です。
「更地」が詩の場所です。日本では織物の町として有名な群馬県桐生市で、私は生まれ育ちましたが、もうここ数十年の間、慢性的な不景気です。廃業や倒産によって、消えていく織物工場、紡績工場などが後を絶ちません。そんな故郷で、競売にかけられた工場跡地に立ったとき、何もないこの行き止まりへ、私なりの抵抗がありうるとしたら、言葉のタマシイの舞踏だけではないか、と思うようになりました。その後、旅先のベオグラードやニューヨークでも更地に出会いましたが、それは爆破された、巨大な建物跡としてでした。いろいろな理由で無理やり崩壊し、あっという間に片付けられ、ぽかんと空いてしまった土地、影まで剥ぎとられてしまった土地を、「今」を切実に語る詩の場所ではないか、と私は思いました。
英訳アンソロジーが完成し、多くの方にご覧いただけるのが、心から嬉しいです。この小さな詩集の中にある「言葉のダンス」を、読者の皆さまにお楽しみいただけたら幸甚です。